凝固・線溶系検査データについて

  • 2021年11月8日
  • 2022年4月19日
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凝固・線溶系に異常がでている場合、血管内に異常(炎症)が生じていると考えていく。

DIC(播種性血管内凝固症候群)は典型的な凝固・線溶異常の病態です。凝固が亢進することにより、凝固因子の消費が増大するため、血中の凝固因子が減ってしまいます。その結果、PT、ATPPの延長が認められます。

凝固に対しプラスミノゲンからプラスミンが形成され、線溶系が活性化される。プラスミンの作用によってD-dimerが形成されるため、D-dimerは線溶活性の指標となります。

凝固・線溶が亢進すると、血小板は減少することが多いです。

プロトロンビン時間(PT)

基準値 秒数:11~12秒 PT活性値:80~120% PT比:0.85~1.15 PT-INR:0.85~1.15

外因系凝固因子のⅩ,Ⅶ,Ⅴ,Ⅱ,Ⅰ因子が関与している。

PT延長はなぜおきるのか

先天性、後天性に Ⅹ,Ⅶ,Ⅴ,Ⅱ,Ⅰ因子のいずれかが低値である。

後天性では以下のことが考えられる。

1.凝固亢進に伴う上記因子の消費

・DIC・血栓症・敗血症・血管炎症候群・SIRS(or高サイトカイン血症)

2.肝臓での上記凝固因子の産生低下

・重症肝機能障害による凝固因子合成障害

・ビタミンK欠乏症(ビタミンKはⅡ,Ⅶ,Ⅸ,Ⅹ因子の合成に必要)。抗菌薬により腸内細菌叢が乱され、ビタミンK産生が低下される。

3.薬剤による抗凝固作用

・ワルファリン

活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)

基準値 APTT時間:23~38秒

内因系凝固因子のⅩⅠⅠⅠ,Ⅻ,Ⅺ,Ⅹ,Ⅸ,Ⅷ,Ⅴ,Ⅱ,Ⅰ因子が関与している。これらの血中濃度が低下するとAPTTは延長する。

APTT延長はなぜおきるのか

先天性、後天性にⅩⅠⅠⅠ,Ⅻ,Ⅺ,Ⅹ,Ⅸ,Ⅷ,Ⅴ,Ⅱ,Ⅰ因子のいずれかが低値である。

1.凝固亢進に伴う上記因子の消費

・DIC・血栓症・敗血症・血管炎症候群・SIRS(or高サイトカイン血症)

2.肝臓での上記凝固因子の産生低下

・重症肝機能障害によるタンパク合成低下

・ビタミンK欠乏症(ビタミンKはⅡ,Ⅶ,Ⅸ,Ⅹ因子の合成に必要)。抗菌薬により腸内細菌叢が乱され、ビタミンK産生が低下される。

3.抗凝固作用

・ヘパリン・ループスアンチコアグラント

フィブリノゲン

基準値:180~350mg/dl

フィブリノゲンは第Ⅰ凝固因子で、凝固の最終段階でフィブリノゲンがフィブリンになり、凝固カスケードが終了する。フィブリンが低下してる状態は凝固亢進しているということ。

フィブリノゲンの上昇はフィブリノゲンを消費させる病態がなくなったということ。つまり、血管内炎症が改善していることを示す。血小板増加より早く変動する。

フィブリノゲンが低下するのはなぜか

先天性

フィブリノゲンが産生されない。低フィブリノゲン血症

後天性

1.凝固亢進による血管内でのフィブリノゲンの消費

・DIC・血栓症・敗血症・血管炎症候群・SIRS(or高サイトカイン血症)

2.フィブリノゲンが肝臓で産生されない。

重症肝機能障害により凝固因子合成が低下している。

上昇するときはどういったときか

フィブリノゲンは急性期蛋白で、以下の時に上昇する。

1.マクロファージが活性化される。

2.マクロファージからIL-6が産生される。

3.IL-6の作用で急性期蛋白を産生する。

Dダイマー

基準値 1.0μg/ml未満

プラスミンによるフィブリンを溶かす線溶作用でD-dimerが形成される。したがってD-dimer上昇は線溶亢進を意味する。

基準値より高い場合、体内で血栓ができやすい状態となっていると考えられる。

これを調べることによって、体内に血栓ができているかもしれないという可能性をデータから推し量ることができます。

敗血症、悪性腫瘍、肝硬変など微小血栓が多発するDIC(播種性血管内凝固症候群)を引き起こす疾患や、すでに血栓が血管を塞いでいる深部静脈血栓症や肺塞栓症などが考えられます。

術後などに血栓ができていないかの評価の一つになったり、すでに病名がわかっているものでも、その重症度を測ったり経過を見るためにデータを見ていきます。

D-dimerはなぜ上昇するのか

  1. 凝固亢進によりフィブリノゲンがフィブリンとなる
  2. フィブリンはフィブリン網を作り血栓を補強する。
  3. トロンビンがⅩⅠⅠⅠ因子を活性化し、安定したフィブリン塊にする
  4. フィブリン塊にプラスミンが作用しD-dimerを産生する

D-dimerの上昇要因

深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症・炎症性疾患

・急性大動脈解離・動脈瘤・閉塞性動脈硬化症

・術後・感染・DIC・悪性腫瘍・肝硬変・外傷・加齢

・妊娠中・心筋梗塞・脳梗塞・四肢虚血・心房細動 など

アンチトロンビン(AT)

基準値:80~120%

第Ⅱ因子のプロトロンビンからトロンビンが産生されると、トロンビンの作用を停止させるためにATが結合し、TATが形成される。

そのため、作られるトロンビンの量に比例して血中のATが低下する。

なぜ低下するのか

  1. 凝固反応がおこり、プロトロンビンからトロンビンが産生される
  2. トロンビンの活性を抑えるためATが結合する
  3. TAT形成→その結果AT低下