便秘時の下剤の選択

  • 2022年1月4日
  • 2022年4月19日
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便秘とは

便秘とはさまざまな原因によって排便に困難を感じる状態

便秘の1つの尺度に3日に1回以下とされているが、明確な定義はなくありません。排便回数が少なくても便の硬さが普通で、排便に困難を感じなければ便秘とはいいません。

便秘を改善するには、一番に生活習慣の改善があげられます。それでも改善が乏しいときに下剤の使用を検討します。

便秘の種類

①機能性便秘

1)弛緩性便秘

大腸の蠕動運動の低下により、便が停滞している状態。

2)けいれん性便秘

腸管がけいれん収縮して排便が困難になっている状態

3)直腸性便秘

排便反射が弱くなり、直腸に便が停滞している状態。

②器質性便秘

消化管の器質的疾患により腸管内容物の通過障害が起こっている状態

③症候性便秘

神経、内分泌、代謝性疾患、膠原病などの疾患の部分症状として生じる二次的な便秘

④薬剤性便秘

薬剤によって引き起こされる便秘

下剤は基本的に機能性便秘に対し使用します。

器質性便秘や症候性便秘に対しては、原因となる疾患を取り除くことが重要になってくる。

薬剤性便秘に対しては、可能であれば便秘の原因となっている薬剤の減量や中止、変更を考慮する。

便秘の非薬物療法

  • 排便習慣の確立(周期的便意の習得、便意を逃さない)
  • 食事療法(十分な水分摂取、食物繊維、ビフィズス菌、オリゴ糖の摂取)
  • ストレスの発散(自律神経の改善)
  • 適切な運動(腸管運動の活性化、腹筋強化)   など

下剤の形

内服薬

腸管全体に作用し、特に弛緩性便秘に有効。簡便に利用でき、種類も多い。

座薬

直腸を刺激するため直腸性便秘に有効。直腸内に便が到達している状態で使用する。弛緩性便秘に対しても、腸の蠕動運動を促進することで排便のきっかけとなる。

浣腸

肛門から直腸内に浣腸液を注入して便を排泄させる。内服薬や座薬が無効である場合に用いられることが多い。

下剤の種類

下剤の種類には大きく分けて①機械的下剤②刺激性下剤③クロライドチャネルアクチベーター④座薬⑤浣腸⑥末梢性μオピオイド受容体拮抗薬にわけられます。

①~⑤は機能性便秘のタイプに応じ使い分け、オピオイドによる便秘は⑥を検討します。

①機械的下剤

作用は比較的緩徐で、副作用が少なく習慣性がないのが特徴。

1)塩類下剤(酸化マグネシウムなど)

長期使用に際しても安全性も比較的に高く、習慣性も少ないと考えられています。

軽~中等度の慢性便秘例での長期投与に適した薬剤になります。

腸管内の浸透圧が高張となり腸管内に水分が移行するため、便が柔らかくなり排便しやすくなったり、内容物の膨張により腸管が刺激されます。そのため、一緒に水分の促しも行いましょう。

しかし、腎機能が悪い患者では高Mg血症、心機能が悪い患者では徐脈を誘発する可能性があるため、投与に注意が必要。

2)膨張性下剤(カルメロースナトリウムなど)

長期使用に際して安全性が高い治療薬で、比較的軽症例での長期使用に適しています。

12~24時間以内に作用が発言するが、最大効果は2~3日連続投与したあとに現れます。

服用時は多量の水分とともに経口投与する。腸管内で吸収されず、同時に服用した水分とともに腸管内で粘性のコロイド液となり、腸管内容物に浸透して容積を増大させ、腸管に物理的刺激を与えることで排便を促す。

欠点として服用しにくいことや、効果が緩やかなため服薬コンプライアンスが不良になることもある。また、膨張性が高いため悪心や嘔吐、膨満感などの副作用がでることがある。

3)浸潤性下剤(ビーマスなど)

腸の蠕動運動が低下している弛緩性便秘に適した薬剤

便の表面張力を低下させ、硬結便に水分を浸透させることにより便を軟化させ、排便しやすくします。

腸の蠕動運動を亢進させる作用もあります。

単剤では効果が不十分になりやすく、刺激性下剤をはじめとした他の薬剤と併用することが多い薬剤。

4)糖類下剤(モニラックなど)

本来は肝疾患治療薬だが、副作用として下痢を生じるため、便秘の治療で用いられることがある。

産婦人科術後や小児便秘症に適応あり。肝疾患があり、アンモニアが高い場合でも適した薬剤。

内服後無変化のまま大腸に達し、浸透圧作用で腸管内に水と電解質を保持するとともに、腸管内で菌による分解を受けて生成した有機酸により、腸の蠕動運動が亢進する。

②刺激性下剤

1)大腸刺激性下剤

作用が強力で即効性があるが、薬効に関する体制と習慣性がある。また、粘膜の炎症を起こすリスクがあるなどの欠点があり、長期使用には不向きである。

・アントラキノン誘導体(ヨーデルS、アローゼン、プルゼニドなど)

大腸において腸内細菌の作用で加水分解され生成したアントラキノンが大腸の粘膜を直接刺激、もしくは腸壁内神経叢を刺激することで蠕動運動を亢進し、排便を促す。

・ジフェノール誘導体(ピコスルファートNaなど)

大腸細菌由来の酵素により加水分解された物質が大腸の蠕動運動を亢進させ、さらに水分吸収抑制作用を示して便を軟化させ排便を促す。

内容液は量が調整しやすい点や、アントラキノン系よりも刺激が少なく、習慣性がないなどの利点があり、幼年者や高齢者にもよく使われる。

③クロライドチャネルアクチベーター(アミティーザ)

慢性便秘の治療において自然な排便を促し、長期に渡り改善効果が期待できる。

小腸粘膜におけるCIチャネルを選択的に刺激し、腸管腔にCIイオンと水分の分泌を促すことで便の水分量を増やし、腸の運動性を高めて排便を促す。約60%の患者に24時間以内に自発排便が認められる。

悪心の副作用があり、それを軽減させるため食後服用となる。妊婦には禁忌となる。

④座薬

1)炭酸水素ナトリウム・無水リン酸二水素ナトリウム(新レシカルボン)

腸内で炭酸ガスを発生し、腸の蠕動運動を亢進することにより排便を促す。

2)ビサコジル(テレミンソフト)

結腸・直腸の粘膜に選択的に作用し腸の蠕動運動を亢進させる。さらに、結腸腔内の水分吸収うを抑制して排便を促す。大腸刺激性下剤としても分類される。

⑤浣腸(グリセリン、ケンエーG)

正常の腸反射の回復を妨げるため、一時的な処置としてのみの使用にとどめる。

直腸内への注入によって腸管壁の水分を吸収することに伴う刺激作用により腸の蠕動運動を亢進させる。また、浸透作用により便を軟化・潤滑化させることにより便を排泄させる。

浣腸による直腸内圧上昇や怒責により、頭蓋内圧亢進につながる恐れがある。頭蓋内圧亢進患者では症状悪化の可能性があるため注意が必要。

⑥末梢性μオピオイド受容体拮抗薬(スインプロイク)

オピオイドによる消化管運動や消化管神経活動の抑制作用に対して、強力な拮抗作用を有することで便秘改善作用を示す。

血液脳関門の透過性が極めて低く、中枢のμオピオイド受容体の作用は阻害しないため、オピオイド鎮痛剤の鎮痛作用に影響する可能性は低い。

重篤な下痢の副作用が報告されていること、また、オピオイド誘発性便秘に対してのみ効果があることに注意をする必要がある。

便性状を確認し下剤の効果を確認する

便の性状はブリストル便性状スケールで示される。下剤の効果は便がやわらかくなるという形で現れ、一般的に下剤を投与すれば24時間以内に反応便が見られる。

便性状が1や2のままである場合や排便が見られない場合には、第一選択薬の増量や第二選択との併用や切り替えを検討する。

下剤投与後に5~7のような便が出ることがあるが、投与後24時間以内の反応便であればすぐに下剤を止める必要はありません。その後の便性状の変化を観察しながら、投与翌日に3~5のような便がでるよう下剤を調節していく。

下の書籍は病棟でよく使われる薬を下剤や鎮痛剤、インスリンなど種類別にまとめられていて、薬の種類によっての作用機序がどのようなものか簡潔にまとめられています。一年目の看護師や看護学生の方におすすめです。