貧血に伴う検査データ

  • 2022年1月5日
  • 2022年4月19日
  • 看護
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貧血とは

ヘモグロビンが基準範囲より低下すること。鉄欠乏、溶血、出血に伴う貧血が多いため、この3つの鑑別が必要。

MCV(赤血球の大きさ)が小さければ鉄欠乏性貧血を疑い、MCVが基準値内であれば出血や溶血を疑う。

ただし、消化管出血などでは鉄が体外へ失われるため鉄欠乏となり、慢性炎症では体内の鉄分布が網内系に偏り血中及び骨髄にて鉄欠乏状態となり、MCVは小球性となる。

溶血性貧血は血管内に炎症が生じた場合(DICや敗血症など)でも生じる。

網赤血球増加は骨髄での赤血球産生亢進を意味し、出血もしくは溶血を疑う所見である。

出血の所見は身体所見に委ねるところが大きいが、一時的な消化管出血であれば数日間だけUNが上昇する。クレアチニンに連動しないUN上昇があり、数日で改善すれば消化管出血が疑われる。

ヘモグロビン(Hb)

Hbは赤血球において酸素輸送を行う物質であり、鉄が構成成分の一つである。酸素運搬能はHb量に依存しているため、貧血の程度を判断する指標として用いられる。

Hbが低下するのはどんなとき?

骨髄での赤血球産生低下

①赤芽球の減少

  • 薬剤による赤芽球障害
  • 放射線療法による赤芽球障害
  • 骨髄の低形成(再生不良性貧血など)による赤芽球減少
  • 血液細胞の悪性腫瘍化(白血病など)による赤芽球減少

②骨髄占拠性病変による赤血球産生部分の減少

  • 悪性腫瘍の骨髄転移による骨髄の占拠
  • リンパ腫や多発骨髄腫などの血液悪性腫瘍による骨髄の占拠

③二次性の骨髄機能低下

1)血清鉄の低下

  • 鉄吸収障害:栄養不良による鉄吸収不足。消化器疾患に伴う鉄吸収不足
  • 鉄の分布不均等による血清鉄の低下:慢性炎症性疾患ではフェリチン(マクロファージなど網内系に蓄積)に含まれる鉄が増加するため、血清鉄が低下する。

2)腎障害に伴うエリスロポエチン産生の低下

血管内での赤血球の破壊

①血管内の炎症

DIC、敗血症、感染性心内膜炎、血管炎など

②脾機能亢進

肝硬変など

③免疫的要因

自己免疫性溶血性貧血

④物理科学的要因

1)遺伝性溶血性貧血

2)微小血管性溶血性貧血

子宮筋腫、血管腫、機械的破壊など

出血

  • 急性出血では正球性貧血を呈することが多い
  • 慢性出血では小球性出血を呈することが多い

MCV(平均赤血球容積)

MCVは赤血球の大きさであり、赤血球の骨髄における産生段階での異常を推測できる。

貧血を認めた場合、まずMCVを鑑別する必要がある。

大球性、正球性、小球性にわかれる。

大球性貧血(MCV≧101fL)

主に赤血球の遺伝子形成過程で異常がみられる。

①葉酸欠乏(悪性貧血)

②ビタミンB12欠乏(悪性貧血)

③銅、セルロプラスミン欠乏。正球性のこともある。

④肝細胞障害:肝細胞再生に葉酸が用いられるため、骨髄で相対的に葉酸不足となるため。

⑤MCVの大きな網赤血球が増加(急性出血もしくは溶血の一部)

正球性貧血(80<MCV≦100fL)

主に骨髄での産生後に貧血となる。

①急性出血:消化管出血では、クレアチニンと連動しないUN上昇が一過性に認められる。

②溶血

小球性貧血(MCV≦80fL)

主にヘモグロビンが形成されるとき(鉄が組み込まれるとき)に異常が生じる。

①鉄欠乏性貧血

②サラセミアなどグロビン合成異常

③慢性炎症:マクロファージが活性化して、鉄が血中からフェリチンに移動し、血清鉄が低下する。

ハプトグロビン

ハプトグロビンは、肝臓で産生されるヘモグロビン結合蛋白。血管内で溶血がおこり遊離ヘモグロビンが生じると、ヘモグロビン・ハプトグロビン複合体を形成する。複合体形成が増加すれば、ハプトグロビンは減少する。

遊離型ヘモグロビンの毒性を中和し、腎臓からヘモグロビンが喪失するのを防いでいる。

ハプトグロビンはなぜ低下するのか

①ハプトグロビンは肝臓で合成される。

②ヘモグロビンが血中に遊離されると迅速に強固にくっつき、複合体を形成する。

・100~130mg/dlの遊離ヘモグロビンと結合できる。

・ 100~130mg/dl 以上の遊離ヘモグロビンがあると、消費されて血中からほとんどなくなる。多くの場合血清濃度が一桁になる

③複合体は細網内皮系細胞にとりこまれて分解処理される。

網赤血球

網赤血球は骨髄での赤血球産生状態を反映している。高ければ産生亢進、低ければ産生低下している。

  • 赤血球は骨髄にて幹細胞から前赤芽球を経て、塩基好性赤芽球、多染性赤芽球、正染性赤芽球をへて網赤血球となる。網赤血球は骨髄と血中に同数あるとされており、骨髄中では48時間、末梢血中では24時間で成熟赤血球となる。
  • 赤血球の寿命は120日
  • 毎日1%程度の赤血球が破壊され、産生されている。

網赤血球増加の判断

網赤血球の絶対数を考慮する。網赤血球の絶対数が10万/μL以上で増加していると判断する。その場合急性出血もしくは溶血を考慮する。

網赤血球の寿命を考慮し、網赤血球数を補正する。

エリスロポエチン

基準範囲8~30mlU/ml。

血中濃度が下がると赤血球の産生が低下し正球性貧血を生じる。

・糸球体濾過量が30ml/min以下の腎障害

・間質性腎障害の場合、軽度の糸球体濾過量でもエリスロポエチンの低下が生じる。

おわりに

貧血に対し輸血や鉄剤の投与などの指示がでたりしますが、今の患者の状態がどのような状態でなぜその指示がでたのかアセスメントできるようになるとよりよい看護に繋がっていきますね。

下記の書籍は検査データを一項目ずつみるのではなく、栄養状態ではこれとこれとこれ、貧血ではこれとこれなどと系統にわけて、そのデータの変動がどのようになっているかを考え、患者の状態を想定するという本になっています。

学生の頃買った検査データの本は一つ一つの項目ごとになぜ変化するのかを簡素にまとめてあるものでした。それでは検査データをぶつ切りにみることしかできなかったため、この書籍はそれをふまえた上でよむととても参考になりました。たくさんの患者の例がのっています。少しむずかしいですが、検査データについての知識を深めたい方はぜひ読んでみてください。