検査データからみる細菌感染症について

  • 2021年8月24日
  • 2022年4月19日
  • 看護
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入院中の患者の経過を見ていく中で、患者を観察して得られる情報の他にも、検査データからもたくさんの情報を得ることができます。そんな検査データの中で今回は細菌感染症がおきていないかの一つのものさしとなるデータについて見ていきましょう。

WBC(白血球)

基準値:3500~9500/μl

細菌感染症にて細菌感染巣に必要な好中球を移行させやすくするために好中球数を増加させる。

細菌感染が改善していないのに白血球が減少している場合、骨髄で好中球を作っているにもかかわらず必要な好中球の数をまかなえていないため、患者が危険な状態になっている可能性がある。

高値の場合  感染症、炎症性疾患、慢性骨髄性白血病など

低値の場合  再生不良性貧血、悪性貧血、肝硬変、急性白血病、全身性エリテマトーデスなど

CRP(C反応性蛋白)

基準値:0.3mg/dl以下

高値の場合 感染症、膠原病、リウマチ熱、心筋梗塞、肝硬変、敗血症、悪性腫瘍など

CRPは細菌感染の生体防御システムとしての役割を持ち、細菌感染時に肝臓でのCRP合成が促進され、血中CRP濃度が上昇します。CRPは細菌の細胞質膜に含まれるリン脂質の一種に結合することで、補体を活性化し、溶菌反応や貪食反応を引き起こします。ウイルスは細胞質膜や細胞壁の構造をもたないため、ウイルス感染時はCRPはあまり上昇しません。

急性炎症時に1000倍以上に上昇するため、炎症の程度を示す指標として用いられる。

CRP上昇のメカニズム

細菌などの異物による単球、マクロファージの活性化

活性されたマクロファージによるIL-6(interleukin-6)産生

IL-6が肝細胞に作用しCRPを産生

マクロファージによるIL-6の放出からCRPが産生されるまでに4時間。CRPがピークになるまで48~72時間かかる。

WBCとCRPの関係

WBCとCRPの数値にはずれが生じます。

感染初期:WBC↑ CRP→

感染極期:WBC↑ CRP↑

感染後期:WBC→ CRP↓

この2つを見ることで、おおまかに感染の始まりか感染が極期をこえて下がりつつあるのかわかりそうですね!

ウイルス感染 CRP→   抗菌薬適応なし

細菌感染   CRP↑   抗菌薬適応あり

WBCとCRPの増加に時間差が生まれるのはなぜ?

細菌感染時にはマクロファージから産生されるインターロイキン6(IL-6)により肝臓でのCRP合成が促進されます。肝臓でのCRP合成にはある程度時間が必要で、血中のCRP濃度が上昇するのは12時間後となります。

一方マクロファージから産生される顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)により、脾臓、肺、肝臓に蓄えられている好中球が血中に動員されることから、感染数時間後には血中のWBCが増加します。G-CSFは骨髄にも働き、好中球の産生を促進します。

その結果、感染の時期によって上昇のずれが生じるわけですね!

WBCから上昇し、CRPがあとから下降していく!

細菌感染症の診断にWBCやCRPが見られますが、感度、特異度も十分なものではありません。

多くの細菌感染症ではWBCは上昇しますが、感染初期や重症例では減少するため、白血球だけでは細菌感染症と判断することはできません。

CRPは2~3日前の状態を反映しているため、検査データをとった日の状態とタイムラグが起きてしまいます。こちらもリアルタイムでの判断ができないためCRPだけでも細菌感染症と診断は難しいです。

白血球分画で左方移動の有無を確認すれば細菌感染症の診断を行える!

白血球分画における左方移動

好中球の成熟度を示す図において、より未熟な好中球を左に並べるため、未熟な好中球が出てくることを左方移動とよんでいる。

白血球区分において左方移動があると骨髄での好中球産生亢進を意味する。

産生が亢進しているということは同時に消費の亢進を表すため、多くの好中球が必要な細菌感染症が疑われる。

左方移動は、骨髄にストックされている分を血中に供給するだけでは好中球の数が補えないので未熟な好中球を供給している状態。

そのため、骨髄のストックが減り、好中球の産生を増やしている。

左方移動の定義

左方移動とは血液塗抹標本の目視による白血球区分で桿状核球の割合が15%以上になること。

  1. 軽度の左方移動:桿状核球が15%以上で分葉核球の半分より少ない
  2. 中等度の左方移動:桿状核球が分葉核球より少ないが、分葉核球の半分より多い。
  3. 高度左方移動:桿状核球が分葉核球より多い。

左方移動と白血球数

左方移動なし+白血球増加→好中球消費なし。細菌感染症以外の原因(副腎皮質ホルモン投与、高サイトカイン血症など)で好中球が増加している。

左方移動なし+白血球減少→好中球消費あるが、骨髄で好中球の産生が亢進していない。細菌感染症の初期

左方移動あり+白血球増加→好中球の消費亢進あり。骨髄で好中球産生が亢進している。細菌感染症があり、必要な好中球の供給が行われている。

左方移動あり+白血球減少→好中球の大量消費あり、骨髄で好中球産生が亢進している。細菌感染症があるが、好中球供給不十分なため危険な状態。

左方移動があっても細菌感染症でない場合ではウイルス感染や無顆粒球症がある。左方移動がない重症感染症では感染性心内膜炎、細菌性髄膜炎、膿瘍などがある。