内視鏡看護師がみる胃潰瘍の視点

  • 2022年6月11日
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胃潰瘍とは

なんらかの理由によって胃粘膜が傷つき、胃酸などによって胃壁の内側にくぼみ状の病変を生じた状態

胃潰瘍の原因

胃潰瘍はヘリコバクター・ピロリと非ステロイド性抗炎症薬が2大リスク因子となっています。

他には暴飲暴食やストレス、飲酒、喫煙、過労、香辛料、熱い食べ物なども原因となる。

症状

  • 空腹時のみぞおちあたりの疼痛
  • 吐血
  • 胸やけ、噯気(げっぷ)
  • コールタール様の黒色便

自覚症状が全くない方もいます。

上部消化管出血でなぜ黒色便やタール便になる?

上部消化管から出血した血液中のHbが胃酸や腸内細菌によって酸化し、硫化ヘモグロビンとなるため。

食事内容から少々黒っぽい便が出ている場合や、鉄剤を内服しているため便が黒くなっていることもあります。食事や内服にも注意して問診します。

イカ墨みたいに真っ黒でドロっとしている場合は注意が必要。

コールタールのような黒色便や吐血は潰瘍から出血があるため、バイタルサインに注意し観察を行う必要があります。

診断・検査

胃がんとの鑑別が必要。まず胃の内視鏡検査を行う。潰瘍の状態を直接見て、潰瘍がどのステージか、出血しているか、再出血のリスクが高いか判断する。

出血リスクから評価したForrest分類

活動性出血
a,噴出性出血
b,湧出性出血
出血の痕跡を認める潰瘍
a,非出血性露出血管
b,血餅付着
c,黒色潰瘍体
きれいな潰瘍底

内視鏡的止血術の適応となるのは活動性出血(Forrest Ⅰa, Ⅰb)と非出血性露出血管症例(Forrest Ⅱa)が適応となる。

治療

出血性胃潰瘍と判断した場合

内視鏡的止血術を行う。しっかり止血することで再出血のリスクが減ると言われています。

内視鏡的止血術では対応できない大量の顕性出血の場合

出血点までカテーテルを挿入し塞栓物質やコイルなどで止血するIVRや、胃切除術などの外科的手術が必要な場合がある。

出血していない場合

薬による治療を行う。第一選択はPPI(プロトンポンプ阻害薬)。他には酸中和薬(マーロックスなど)や胃粘膜保護薬(ムコスタ)など。

出血性胃潰瘍に対する内視鏡的止血術の成績は

クリップ法は単独での使用でも再出血の予防に有用。

局注法(HSEやエタノールなど)は単独よりもクリップ法や凝固法と併用したほうが初期止血や再出血予防に効果的

凝固法の単独使用で初期出血や再出血の予防に関してはクリップ法や局注法と同等の効果が期待できる。

再出血予防のためにヘリコバクター・ピロリの除菌は有用?

ヘリコバクター・ピロリ陽性例には再出血予防に対して除菌療法は有用です。

ヘリコバクター・ピロリの除菌によって未除菌症例に比べて有意に胃潰瘍の治療を促進することがわかっている。

除菌によって治療を促進するだけでなく消化性潰瘍の再発予防にも有用です。

除菌後のヘリコバクター・ピロリへの再感染率は年率2%以下であり、除菌によるメリットは多くあるため、できるだけ除菌することが勧められます。